創作整数問題#84解法&創作整数問題#85

久し振りに2ヶ月近く空いてしまいました。最近数学に触れていなくて寂しい気持ちです(笑)。


新型コロナウイルスのパンデミックから1年半余りが経過しました。この間に多くのワクチンが流通し、さらに待望の経口薬がアメリカで承認寸前まで来ています。まさに「かがくの ちからって すげー!」という感じですね。最近の日本国内では感染者数がかなり抑制できており「出口」をうっすらと感じます。来年あたりには日常生活が正常化できていると良いのですが…。

これから冬にかけて、今度はインフルエンザが流行すると噂されています。昨年はコロナウイルスとのウイルス干渉によってインフルエンザがほとんど流行しておらず、これにより大部分の人がインフルエンザに対する免疫を失ってしまったと考えられています。手洗いうがいの習慣は基本原則として、マスク着用のマナーも当分続きそうです。季節の変わり目は体調を崩しやすいので、体調管理に一層注意して過ごしましょう!


創作整数問題#85


《問題#85》

方程式$(*)$に関する以下の問いに答えよ。$$(*): \quad y^2=x^3+7$$

(1)方程式$(*)$が整数解$(x,y)$を持つとすれば、$x$は奇数に限ることを示せ。

$a$を整数、$p$を素数として $n^2 \equiv a \pmod{p}$ を満たす整数$n$が存在するとき「$a$は$p$を法とする平方剰余である」という。ここで一般に、$p-1$ が$p$を法とする平方剰余であるならば、$p$は$4$で割った余りが$1$となる素数に限ることが知られている。

(2)上記の事実を利用して方程式$(*)$が整数解を持たないことを示せ。

(創作問題)


$y^2=x^3+n$ 型の楕円曲線には「モーデル曲線」(Mordell curve) という名前が付いています。「整数係数の楕円曲線上には整数解が有限個しかない」という「モーデル・ファルティングスの定理」は代数学における有名な定理です。

(2)の前に問題文中で触れている事実は「平方剰余の相互法則」と呼ばれるものの一種です。これを利用すれば、定数項が奇数の方程式について一般に回答することも可能です。

 

証明問題につき、解答例は次回掲載します。


創作整数問題#84(解き方)


$0$から$9$までのすべての数字は自然数の平方根の小数点以下第$3$位の数字として現れることを示せ。


具体的な数式で表すと議論が簡単になります。本問のような証明問題では、題意を満たすような場合が具体的に構成できることを示してしまうのが良いでしょう。これを証明するには不等式で挟むだけでよいので、(どのような不等式を使えば良いかは迷い所かもしれませんが)意外とやるべきことは単純です。

解答例

 

$a_1$、$a_2$、$a_3$を$0$以上$9$以下の整数として$$A=\dfrac{1}{1000}(100a_1+10a_2+a_3)$$と置く。ここで、ある正の整数$m$が存在して$$(*): A+m \leqq \sqrt{n} < A+m+10^{-3}$$を満たすような正の整数$n$が与えられることを示す。

 

$(*)$は各辺が正なので、各辺を二乗した不等式$$\small (*)^{\prime}: \underline{A^{2}+2 Am+m^{2}}_{\text{①}} \leqq n<\underline{m^{2}+2 m\left(A+10^{-3}\right)+\left(A+10^{-3}\right)^{2}}_{\text{②}}$$を満たすような正の整数$n$が存在することを示せばよい。

 

ここで、$0<A \leqq 1-10^{-3}$ より、$0<A^{2}<1$、$0<\left(A+10^{-3}\right)^{2} \leqq 1$ であるから、$$\small \left\{\begin{array}{l}m^{2}+2 A m<(\text{下線部①})<m^{2}+2 A m+1 \\ \quad \text{かつ} \\ m^{2}+2 A n+2<(\text{下線部②}) \leqq m^{2}+2 A m+3 \end{array}\right.$$が成り立つ。

 

ここで、$k$を正の整数として $m=1000k$ とすると $m^2$と$Am$は整数となり、このとき $n=m^{2}+2 m A+1$、$m^{2}+2 m A+2$ は不等式$(*)^{\prime}$を満たす。よってこれらの$n$の値は不等式$(*)$も満たす。

 

そこで $A=0.001$、$m=1000$ とすると、$n=1000003$、$1000004$を得るから、$\sqrt{1000003}$や$\sqrt{1000004}$の小数点以下第$3$位には$1$が現れることが言える。

 

全く同様にして $m=1000$ の下で $A=0.002$ から $A=0.010$ までの9個の小数について調べることにより、$0$から$9$までのすべての数字が自然数の平方根の小数点以下第$3$位に現れることが確かめられる。

 

よって題意は示された。

 


 

奇抜な整数問題(?)でしたが、不等式であっさり解決できてしまいます。

2016年の東大理科第5問に10進小数を題材にした整数問題が出題されたことがあります。このときの問題は、正整数の平方根が任意桁の10進小数で表示できることの証明でした。本問#84はそれにやや似た趣向の問題で、「10進表示された小数の任意の桁にすべての数字が表れることを不等式で証明できますか?」という問題になっています。ガウス記号を持ち出したりしなくても十分対応できます。

小数点以下第$3$位の数字は解答例中で示した不等式から求められるわけですが、例えば実際に$\sqrt{1000003}$を小数で表示してみると $1000.00\color{red}{\underline{1}}\text{4999…}$ となります。このようにして$0$から$9$までのすべての数字が小数点以下第$3$位に出現することが確かめられます。

なお、不等式$(*)$の桁を調節することで、より一般的な結果として小数点以下の任意の位に$0$から$9$までのすべての数字が出現することが示せます。

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