数列の微分積分?(その2)

前の記事に関連して、興味深い入試問題が出題されています。
2006年の東大後期で数列の和について取り上げられています。


中でも興味深いのは(1)と(4)ですね。問題は以下のようなものです。

 

《問題》

(1)
$p+1$次多項式$S_p(x)$があって、数列の和$\displaystyle \sum^n_{k=1} k^p$が$S_p(n)$と表されることを示せ。

・・・・・・(中略)・・・・・・

(4)
$p$を3以上の奇数とする。このとき、$$\dfrac{d}{dx}S_p(x)=pS_{p-1}(x)$$を示せ。


ここで$p、n、k$はいずれも自然数です。これによれば$\displaystyle \sum^n_{k=1} k$とか$\displaystyle \sum^n_{k=1} k^3$などがそれぞれ2次、4次の多項式で表せることが言えます。証明は$p$に関する数学的帰納法で良いでしょう。

例えば$\displaystyle \sum^n_{k=1} k=an^2+bn+c$と置くと、最初の3項から、

$\displaystyle \begin{cases} a+b+c=1 \\ 4a+2b+c=3 \\ 9a+3b+c=6 \end{cases} $

となります。これを解くと$a=\dfrac{1}{2}$、$b=\dfrac{1}{2}$、$c=0$を得ますから、$\displaystyle \sum^n_{k=1} k=\dfrac{1}{2}n^2+\dfrac{1}{2}n=\dfrac{1}{2}n(n+1)$となることが分かります。

 

色んな次数の和を観察してみると、$\displaystyle \sum^n_{k=1} k^2=\dfrac{1}{6}n(n+1)(2n+1)$、$\displaystyle \sum^n_{k=1} k^3=\dfrac{1}{4}n^2 (n+1)^2$となっており、次の予想が成立しそうです。

 

《予想》

$S_p(n)$の最高次の係数は$\dfrac{1}{p+1}$であり、定数項は$0$である(常に$n$を因数に持つ)。

 

(この関係を題材にした入試問題もどこかで出題されていたような気もしますが・・・)

とりあえず最初に考えるべきことは和の公式の作り方です。$n^3$の場合を例に考えてみます。

まず$$(k+1)^4-k^4=4k^3+6k^2+4k+1$$という関係に着目するのでした。これより、$$4k^3=(k+1)^4-k^4-(6k^2+4k+1)$$となります。ここで$k=1$から$k=n$まで和をとると、$$\displaystyle 4\sum^n_{k=1} k^3=(n+1)^4-1^4-\left( 6\displaystyle \sum^n_{k=1} k^2+4\displaystyle \sum^n_{k=1} k+\displaystyle \sum^n_{k=1} 1 \right)$$を得ます。右の括弧の中のシグマ達は$n$で括れますし、$(n+1)^4-1^4$の部分で定数項が相殺されます。よって右辺は$n$で括ることができます。

また、$n$の最高次数ですが、$\displaystyle \sum^n_{k=1} k^2$の部分でも3次にしかなりませんので、$(n+1)^4$に展開したときに出てくる$n^4$が最高次の項になります。従って両辺を$4$で割ることにより、最高次の係数は$\dfrac{1}{4}$となることが示されました。

 

これと同様の議論を一般化してみます。

$(k+1)^{p+1}-k^{p+1}$

$={}_{p+1}\mathrm{C}_{1} k^{p}+{}_{p+1}\mathrm{C}_{2} k^{p-1}+\cdots+{}_{p+1}\mathrm{C}_{p} k^{2}+1$

ですから、

$(p+1)k^{p}=(k+1)^{p+1}-k^{p+1}$

$-\left({}_{p+1}\mathrm{C}_{2} k^{p-1}+\cdots+(p+1)k^2+1\right)$

となります。ここで$k=1$から$k=n$まで和をとると、

$(p+1)\displaystyle \sum^n_{k=1} k^{p}=(n+1)^{p+1}-1^{p+1}$

$-\left({}_{p+1}\mathrm{C}_{2} \displaystyle \sum^n_{k=1} k^{p-1}+\cdots+(p+1)\displaystyle \sum^n_{k=1} k^2+\displaystyle \sum^n_{k=1} 1\right)$

となり、(帰納法の仮定により)右辺3項目の括弧内は$n$で括れて、$(n+1)^{p+1}-1^{p+1}$の部分では定数項が相殺されるため、右辺の定数項は$0$となります。

また$n$の最高次数は$(n+1)^{p+1}$に由来する$n^{p+1}$が最高次の項になるので、両辺を$p+1$で割ることにより、最高次の係数は$\dfrac{1}{p+1}$となることが示されます(帰納法の仮定より$\displaystyle \sum^n_{k=1} k^{p}$の次数は$p+1$となります)。

したがってすべての$p$について《予想》は正しいことが言えます。

 

このことから、例えば$k^4$であれば$$\displaystyle \sum^n_{k=1} k^4=\dfrac{1}{5}n^5+sn^4+tn^3+un^2+vn$$などと置いて数値代入法により決定すればよいことが分かります。因みに4乗の和の公式は$$\displaystyle \sum^n_{k=1} k^4=\dfrac{1}{5}n^5+\dfrac{1}{2}n^4+\dfrac{1}{3}n^3-\dfrac{1}{30}n$$となります。


因みにこの事実は入試問題でも扱われています。(Cf.京都府立医科大学1991年第3問)

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