東京大学2018年理系第2問

平昌オリンピックは今日閉会式を迎えましたが、国公立大の二次試験は本日いよいよ開幕です(笑)。今回は東大の整数問題を扱います!


《問題》

数列 $a_1$、$a_2$、$\cdots \cdots$ を$$a_n=\dfrac{{}_{2n+1}\mathrm{C}_n}{n!} \ \ \ (n=1,\ 2,\ \cdots \cdots)$$で定める。

(1)$n \geqq 2$ とする。$\dfrac{a_{n}}{a_{n-1}}$ を既約分数 $\dfrac{q_{n}}{p_{n}}$ として表したときの分母 $p_n \geqq 1$ と分子 $q_n$ を求めよ。

(2)$a_{n}$ が整数となる $n \geqq 1$ をすべて求めよ。

(東京大学2018年理系 第2問)


《考え方》

東大ではよく出題される二項係数を題材とした整数問題です。二項係数の登場する出題は2015年以来です。試験場で遭遇した場合は取っ付きにくい問題でしょうか・・・?(1)が重大なヒントになっているのでこれを利用して(2)を解答します。

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$$\begin{align} a_n &= \dfrac{{}_{2n+1}\mathrm{C}_n}{n!} \\ &=\dfrac{(2n+1)!}{(n!)^2 (n+1)!} \end{align}$$より、$$\begin{align} \dfrac{a_{n}}{a_{n-1}} &= \dfrac{(2n+1)!}{(n!)^2 (n+1)!} \cdot \dfrac{\{(n-1)!\}^2 n!}{(2n-1)!} \\ &= \dfrac{2(2n+1)}{n(n+1)} \\ &= \dfrac{2n+1}{\dfrac{1}{2}n(n+1)} \end{align}$$と簡単になります。これが既約分数 $\dfrac{q_{n}}{p_{n}}$ になっていることを示します。これは $2n+1$ と $n(n+1)$ が互いに素であることを言えば示すことができます。

ユークリッドの互除法により、$2n+1$ と $n$ の公約数は $1$ と $n$ の公約数に等しく$1$なので互いに素です。また、$2n+1$ と $n+1$ の公約数は $1$ と $n+1$ の公約数に等しく$1$なので同様に互いに素です。したがって $2n+1$ と $n(n+1)$ が互いに素であることが言えました。$n(n+1)$ は2つの隣接する整数の積なので偶数ですから、$\dfrac{1}{2}n(n+1)$ は整数です。$n(n+1)$ を$2$で割ったものと $2n+1$ は互いに素であることに変わりないので、求める既約分数は$$\dfrac{2n+1}{\dfrac{1}{2}n(n+1)}$$であることが分かりました。したがって、$$p_{n}=\color{red}{\dfrac{1}{2}n(n+1)},\ q_{n}=\color{red}{2n+1}$$となります。

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本題は(2)ですが、(1)の結果を素直に利用します。分子の$q_{n}$が奇数であることに着目出来れば完答がグッと近付きます。

まず、小さい$n$について調べてみます。

$a_1=\dfrac{{}_{3}\mathrm{C}_1}{1!}=3$、
$a_2=\dfrac{{}_{5}\mathrm{C}_2}{2!}=5$

となり、整数になっています。ここまでは良いのですが、これ以降は整数になる気配がありません。

$a_3=\dfrac{{}_{7}\mathrm{C}_3}{3!}=\dfrac{35}{6}$、
$a_4=\dfrac{{}_{9}\mathrm{C}_4}{4!}=\dfrac{21}{4}$、
$a_5=\dfrac{{}_{11}\mathrm{C}_5}{5!}=\dfrac{77}{20}$、
$a_6=\dfrac{{}_{13}\mathrm{C}_6}{6!}=\dfrac{143}{60}$、$\cdots$

となり、いずれも整数になりません。この実験結果から、$a_n$の特徴が掴めます。それは、$n \geqq 3$ では$a_n$の分母が常に偶数、分子が常に奇数の形の既約分数になっているということです。これと(1)の結果が結び付けられればこっちのものです。(1)で求めた$p_{n}$、$q_{n}$を用いると、

$$\begin{align} a_n &=\dfrac{q_{n}}{p_{n}} a_{n-1} \\ &=\dfrac{q_{n}}{p_{n}} \cdot \dfrac{q_{n-1}}{p_{n-1}} a_{n-2} \\ &\ \ \ \vdots \\ &=\dfrac{q_{n}}{p_{n}} \cdot \dfrac{q_{n-1}}{p_{n-1}} \cdots \cdots \dfrac{q_{3}}{p_{3}} a_{2} \end{align}$$

と表すことができます。ここで、$q_n$はすべての自然数$n$に対して奇数であり、$p_3=6$ となり偶数なので、$a_{2}=5$ が奇数であることより、$n \geqq 3$ のとき、$$a_n=\dfrac{(\text{奇数})}{(\text{偶数})}$$となるので整数になることはありません。よって求める $n \geqq 1$ は、$$n=\color{red}{1},\ \color{red}{2}$$となります。


(コメント①)

目の付け所次第では泥沼に嵌ってしまうタイプの問題です。(1)は受験生がそうならないように配慮した誘導設問なのですが、かえって目晦ましになってしまったケースもあり得そうですね・・・。

本問は「小さい$n$で実験してみる」という手法が威力を発揮する出題だったのではないでしょうか。2015年の東大理科の整数問題もこうした試行錯誤で突破口を見つけられる良問でしたが、今年の問題もシンプルながら、問題解決能力を上手く測れる出題だったと思います。

それから、上記の(1)の解説でユークリッドの互除法を使用していますが、この部分は実際の答案ではもう少し丁寧に記述した方が良いですね(笑)


(コメント②)

余談ですが、本問の$a_n$は $n \to \infty$ の極限をとると$0$に収束します。$n \geqq 8$ で$1$を下回るので、このことからも整数になるのが $n=1,\ 2$ のみであることが確かめられます。二項係数のオーダーよりも階乗数のオーダーの方が大きいことは広く知られていますが、理系数学ではこうした解析的な内容からの誘導設問はありませんでした。文系数学の方では $a_n=\dfrac{{}_{2n}\mathrm{C}_n}{n!}$ として出題されており、$a_7$と$1$の大小を比較させる誘導設問が出題されています。この方針による別解も考えることができます。

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《(2)の別解のアウトライン 》(※(1)は同様に済ませる)

正の整数$n$について$$\dfrac{2n+1}{\dfrac{1}{2}n(n+1)}<1$$を解くと $n \geqq 4$ を得るので、$n \geqq 4$ の範囲では $\dfrac{a_{n}}{a_{n-1}}<1$、すなわち $$a_{n}<a_{n-1}$$ が成立する。計算により $a_8<1$ が分かるので、$n \geqq 8$ では $a_n<1$ となり整数になり得ない。そこで $1 \leqq n \leqq 7$ の範囲で$a_n$が整数になるような$n$を探し、$n=1,\ 2$ を得る。


あまり手間が掛からないので(1)の誘導に乗れなくとも、こうした泥臭い方針でも完答は可能です。誘導が絶対というのは迷信ですし、誘導設問に逆らったからといって減点されるようなことはまずあり得ません。

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東大受験生の皆さんは明日も頑張って下さい!

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