二重根号を外す操作(Denesting Radicals)については、前々回の記事で色々と解説してきました。今回はさらに複雑な「多重根号」(Nested Radicals)についてご紹介したいと思います。
三重根号を外す
早速ですが、次の問題を解いてみましょう。
《問題》
式がイカツイので一瞬怯みそうになりますが、どうせ根号が外せるのだろうと見当が付きます。まずは取り敢えず
このように、多重根号であっても外して簡単にできるものが存在します。外せる二重根号の見分け方については「二重根号を外す色々な方法」の記事中で紹介していますので、是非参照して下さい。
三角関数と多重根号
また、三角関数を扱うときにも多重根号が出てくる場面があります。
他にも例えば、
《問題》
これは以下のように式変形することで示されます。
この途中の式変形を考えると、いくらでも類題が作れることが分かりますね。
[the_ad id=”7538″]
ラマヌジャンの公式
“Denesting Radicals” のトピックとして取り上げられることの多い等式が「ラマヌジャンの等式」と呼ばれる以下のような等式群です。
一般にどのような多重根号が denest(解除)できるかについて調べるにはガロア理論などをマジメに勉強する必要があります。ただし、3乗根を内部に含む二重根号については以下の公式がラマヌジャンにより与えられています。
ここで、
例えば、
また、
この公式は平方根の中に立方根が含まれる場合にのみ有効で、
3乗根以外にもラマヌジャンは色々な等式を発見しており、彼のノートには
日常生活は勿論、受験の世界でもほとんど役に立たない公式と言えますが、友達に自慢できるくらいは役に立つ・・・かもしれません。
無限多重根号の式を簡単にする
「無限多重根号の式」と聞くと何だか怖そうですが、こちらの方が入試などでは馴染みのある形かもしれません。
例えば、
これを一般化すると
また、
立方根の場合は
ラマヌジャンは上記の累乗根の等式以外にも、次のような等式を見出しました。
ラマヌジャンが残した等式は数知れず、
c;16777216 x^9+618087753 x^6 y^3-1046960640 x^6 y^2+465813504 x^6 y+7168076208 x^3 y^6-24297482520 x^3 y^5+32224456476 x^3 y^4-20850556194 x^3 y^3+6590931282 x^3 y^2-816293376 x^3 y+24794911296 y^9-123974556480 y^8+266545296432 y^7-322333846848 y^6+240200703180 y^5-113126782788 y^4+32930741565 y^3-5423886846 y^2+387420489 y=0
(1) 上の c の特異点達を求めて下さい;
(2) c の双対曲線 c^★ を多様な発想で求め
(3) c^★ の 二重接線達を求めて下さい;
(4) c^★とx軸との交点を求め 其の二重根号を外して下さい; 「ラマヌジャンの等式」