x+yとx+2yがともに平方数となる整数x,y

先日公開した創作整数問題#67に関する話題です。ペル方程式に関する考察(雑談)をしてみます。

問題#67とは、以下のような問題でした。


《創作整数問題#67》

$x+y$、$x+2y$、$2x+y$ がいずれも平方数となるような整数の組$(x,y)$をすべて求めよ。


これは結局 $(x,y)=(0,\,0)$ しか整数解を持たないのですが、以下のようにアレンジした場合は無数の整数解が存在することになります。

$x+y$、$x+2y$ がいずれも平方数となるような整数の組$(x,y)$が無数に存在することを示せ。

$x+y$、$x+2y$ がいずれも平方数となるとき、整数$a$、$b$を用いて$$\begin{cases} x+y=a^2 \\ x+2y=b^2 \end{cases}$$と置けます。議論を進めやすくするために $x=y+d$($d$は整数)と置くと上記の連立方程式から$$3a^2-2b^2=d \quad \cdots (*)$$という方程式が得られます。この両辺に$3$を掛けると$$(3a)^2-6b^2=3d$$となるので、$X=3a$、$Y=b$ と置き直すと$$X^2-6Y^2=3d \quad \cdots (**)$$と書き直せます。

この方程式$(*)$について、特に $d=1$ のとき整数解が無数に存在することは創作整数問題#44の解説において既に証明しています。方程式$$X^2-6Y^2=3$$を満たすような$X$は$3$の倍数なので $X=3a$ を満たすような整数$a$は必ず存在します。$$\begin{cases} x=2a^2-b^2 \\ y=-a^2+b^2 \end{cases}$$より、$x+y$、$x+2y$ がいずれも平方数となるような整数の組$(x,y)$は無数に存在することが示されます。

組$(a,b)$は$n$を整数として、$$\small \begin{array}{l}
a=\dfrac{1}{6}\left\{(3+\sqrt{6})(5-2 \sqrt{6})^{n}-(\sqrt{6}-3)(5+2 \sqrt{6})^{n}\right\} \\
b=\dfrac{1}{4}\left\{-(2+\sqrt{6})(5-2 \sqrt{6})^{n}+(\sqrt{6}-2)(5+2 \sqrt{6})^{n}\right\}
\end{array}$$とあらわに求めることができます。これはちゃんと方程式$(*)$の整数解になっています。

しかし、そもそも方程式$$3a^2-2b^2=d \quad \cdots (*)$$を満たすような整数組$(a,b)$が存在するためには、$d$が$3a^2$と$2b^2$の差になっていれば良いので、$a$と$b$に適当に整数を代入してやれば$(*)$の整数解が存在するような$d$の値を無数に決定できます。

例えば $(a,b)=(1,1)$ とすれば $d=1$ となり、$(a,b)=(2,1)$ とすれば $d=10$、$(a,b)=(2,3)$ とすれば $d=-6$ を得ます。これ以外にも無数の整数組$(a,b)$により、異なる整数$d$を幾らでも与えることができます。これはつまり、$x+y$ と $x+2y$ がいずれも平方数となるような整数組$(x,y)$が無数に与えられるということを意味しています。(尤も、$y$が平方の差になっていればよいので半ば自明と言えますが・・・)


これをさらに発展させれば、任意の整数$p$に対して $x+y$、$x+py$ の両方が平方数となるような非自明な整数組$(x,y)$が無数に与えられそうです。(※自明な整数組とは$(0,0)$や$(1,0)$などのことを指します)

整数$a$、$b$を用いて$$\begin{cases} x+y=a^2 \\ x+py=b^2 \end{cases}$$と置き、$x=y+d$($d$は整数)とすると先ほどと同様に$$(p+1)a^2-2b^2=(p-1)d \quad \cdots (*)’$$という方程式が得られます。ここで $X=(p+1)a$、$Y=b$ と置き直すと$$X^2-2(p+1)Y^2=(p^2-1)d \quad \cdots (**)’$$と書き直せます。

ここで、一般論について触れておきます。

$$X^2-kY^2=1 \quad \cdots (\clubsuit)$$という形の方程式は「ペル方程式」と呼ばれます。この方程式$(\clubsuit)$の最小の正整数解を$(X_{0},Y_{0})$とすると、$(\clubsuit)$の一般解は$$\begin{cases} X_{n+1} = X_{0}X_{n} + kY_{0}Y_{n} \\ Y_{n+1} = Y_{0}X_{n} + X_{0}Y_{n} \end{cases}$$で与えられます。

一般化されたペル方程式$$X^2-kY^2=N \quad \cdots (\spadesuit)$$の一つの解を$(u_{0},v_{0})$とすると、$(\clubsuit)$の一般解$(X_{n},Y_{n})$を用いて$$\begin{cases} u_{n} = u_{0}X_{n} + kv_{0}Y_{n} \\ v_{n} = v_{0}X_{n} + u_{0}Y_{n} \end{cases}$$と表される組$(u_{n},v_{n})$は$(\spadesuit)$の一般解になっています。(実際に代入して確かめることができます)

ペル方程式$(\clubsuit)$は$Y^2$の係数$k$が平方数でないときに必ず解を持つことが知られていますが、一般化されたペル方程式$(\spadesuit)$については特にそういったルールは知られていません。(もしご存知の方がいらっしゃいましたらご教授下さい・・・)

方程式$(**)’$は$d$の値を色々と変えることで、どんな$p$の値に対しても解が存在するようにできると考えられます。つまり、整数$x$、$y$が独立である限り、$x+y$、$x+py$ の両方が平方数となるような非自明な整数組$(x,y)$は$p$がいかなる値であっても存在することが予想されます。


結局、$(p-1)y$ が平方の差になってさえいれば良いので、任意の$p$に対して $(p-1)y$ が平方の差となるような整数$y$が存在することを示せば十分です。例えば$$(p-1)y=b^2-a^2$$と置き、$b+a=y$、$b-a=p-1$ となるように整数$a$、$b$を定めると$$\begin{cases} a=\dfrac{y-(p-1)}{2} \\ b=\dfrac{y+p-1}{2} \end{cases} \quad \cdots (\heartsuit)$$と表せて、$a$、$b$が整数となるような$y$は無数にとれるので、$x+y$、$x+py$ がともに平方数となるような整数組$(x,y)$は任意の$p$に対して無数に与えることができます。

逆にこのことから、$$(p+1)a^2-2b^2=(p-1)d \quad \cdots (*)’$$というペル型方程式は$p$の値によらず、$d$をうまく調整すれば無数に解を持つことが言えるようです。

例えば、$p=5$ のとき $y=2$ とすれば$(\heartsuit)$より $(a,b)=(-1,3)$ となり、$(*)’$に各値を代入すると $d=-3$ となるので、$$(x,y)=(-1,2)$$が得られます。

$y$の値は$(a,b)$が整数になりさえすれば何でも良いので、試しに $y=8$ としてみると、$(a,b)=(2,6)$、$d=-12$ となるので、$$(x,y)=(-4,8)$$が得られます。

また、$p=11$ のとき $y=12$ とすれば$(\heartsuit)$より $(a,b)=(1,11)$ となり、$(*)’$に各値を代入すると $d=-23$ となるので、$$(x,y)=(-11,12)$$が得られます。

このようにすれば、どんな$p$の値に対しても $x+y$、$x+py$ がともに平方数となるような整数組$(x,y)$が与えられます。

 

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