2017年大学入試総括(主に数学)

こんにちは。管理人のpencilです。
今年の入試も終わり、いよいよ春が訪れようとしています。

本日は完全なる外野(笑)から、2017年の大学入試の理系科目、主に数学科目について概観を勝手に述べてみたいと思います。


今年の衝撃第1発は何と言っても、東大理科のどうした?っていうくらいの易化でしょう。本年度は歴代でも5本の指に入るくらいの易しさです。物理や化学も標準レベルで目新しい題材のない比較的穏やかな出題だったため、理科受験は大変な激戦になったことと思います。理数系の弱い人にとってはとことん差を付けられてしまった試験、理数系の得意な人にとっては全然差を付けられなかった試験だったのではないかと思います。最近易化傾向にある東大ですが、今年の東大は全体的にかなり控えめな出題に終始したと思います。密かに爪を研いでいるのか、すっかり丸~くなってしまったのか・・・正直、来年はどう出るのか全く分かりません。

(余談)
東大易化傾向の裏には地方の学生を確保したいという東大側の事情が見え隠れしているようですが憶測の域を出ません。個人的には今年の化学の第1問に有機化学(しかもごく単純な構造決定)が出題されていて意外でした。今年は例の「レポート捏造問題」は出ませんでしたね。・・・流石にやめたんでしょうか(笑)。

易化傾向と言えば、今年の北大(特に理系)も易化していました。今回の試験問題を見てビックリしたのが「なんで、整数が北大に!?」という・・・。整数問題とは言っても非常に易しい部類なのですが、第1問に配置されており、さあ解こうと意気込んでページをめくった途端に発狂(by (自称)数学弱者の知人 談)という感じだったそうです。また、例年北大の理科科目はタイムアタック状態(:時間が足りない)で、これまで多くの受験生を苦しめてきたわけですが、遂に今年は120分から150分に延びました。問題の量は(多分)変わっていないため、易化に拍車を掛けている要因の一つと言えます。易化傾向が続いているのは道内の地方から学生を集めるためとも考えられますが、本州勢にとっては格好の穴場(と言いつつもはや穴場ですらありませんが・・・)となってしまうというジレンマもあります。さあ、来年の問題はどうなるのでしょうか。


個人的に明らかな易化と思われるのは旧帝大関係で言えば上記の2校くらいです。(ほぼ)横這いだったのが、京大、阪大、九州大、一橋大くらいでしょう。いずれも出題レベルが維持されていると感じました。阪大は最近解きにくい問題を出しているようですが来年以降もこの傾向は続くと思われます。


それに対して旧帝大関係で難化気味だと感じたのは東北大、名古屋大、東工大、神戸大です。

今年の東北大は複素数(第5問)と微積分(第6問)が難しかったようです。第3問の数え上げもそれほど難しい訳ではありませんが、やってみると結構面倒くさいので試験場では時間泥棒となった問題でしょう。比較的易問だった第4問のベクトルと第1問の接線の問題を落とすとかなり苦戦を強いられる試験内容でした。

名古屋大ではここ30年くらいはずっと理系4問、文系3問という問題数での試験になっています。例年は題意を取りやすい問題が多いのですが、今年の問題は見た目も中身もゴツイ問題がほとんどで、強いて言うなら解きやすかったのは第3問のベクトルかな、という感じですね。

今年の東工大は「昔の東工大が帰って来た!」という感じでした。誘導設問の無い問題の出題は2013年以来で、特に誘導の無い整数問題が実に8年振りに出題されており整数分野のファンとしては感激でした(笑)。全体的に難易度が回復し、最高難度を誇る理系数学出題校としての地位を取り戻しつつあるように思えます。

神戸大はここ3年くらい連続で整数問題を出題していましたが、今年は出題がありませんでした。今年のベクトルは割とヘビーでしたね。最近は易化と難化を交互に繰り返している気がします。(今年はやや難化の年でした)


以下、個人的に興味を引いた出題を挙げていきます。

  1. 早稲田大学の商学部&埼玉大学の理系でチェビシェフの多項式が出題される
  2. 中央大学 法(政治)で三角関数の和積公式の証明が出題される
  3. 愛知教育大学 理系 第2問で5乗和と7乗和の問題が出題される
  4. 大阪教育大学 理系 第3問でブラーマグプタの公式の証明が出題される
  5. 名古屋市立大学の後期試験の第4問が某予備校の対策特講問題と(文字通り)完全に一致
  6. 九州大学後期第5問にZeckendorfの定理が出題される(日本語では「ツェッケンドルフ」や「ゼッケンドルフ」など、表記揺れがあります)

昨年は慶応義塾大学(薬)で出た三つ巴戦の確率の問題がそっくりそのまま東大の確率に出題されるという珍騒動があり、今年もどこかで被るのではないかと踏んでいましたが、やはりありましたね・・・。下手な予備校より的中しているというのはどういうことなんでしょうか(笑)。


《コラム:大学入試問題について》

そもそも大学入試問題を作るというのは非常に大変なのです。採点作業だけでも膨大な作業量なのに、貴重な研究時間を作問に割かなければならないというのは大学教授陣にとって非常にネックです。こうした状況を改善するべく、十数年前に岐阜大学が幹事となって「入試過去問題活用宣言」を起草し、平成20年度入試から他大学の過去問の活用が実施されるようになりました。こうした点を踏まえれば、どこかの予備校のテキストに掲載されていた問題が入試問題に登場するのは仕方のないことなのです。(ですから名古屋市大の件は事故と思って諦めましょう。まあ数値くらい変えなさいとは言いたいですが)

念のため言っておくと、「入試過去問題活用宣言」を採択しているすべての大学の今後の入試問題が過去問から出題される訳ではないですからね。そこだけ注意してください。因みに2017年3月15日現在、今年ダブった早稲田大、昨年ダブった慶応大と東大は「入試過去問題活用宣言」に批准していません。

参考:入試過去問題活用宣言(外部リンク)


今年の整数問題で面白かったのは東工大、名古屋大、九州大後期ですね。和歌山大の整数問題も(最近流行りの?)面白い題材でした(個人的には誘導を削って出題したい)。それから、北見工業大学の後期試験の整数問題は非常に教育的な出題なので毎年必ずチェックしています。来年の入試問題にも期待しましょう!

 

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