対象:高校化学/前提:物質量、圧力、体積、比例関係
気体の体積は、物質量だけでは決まりません。同じ量の気体でも、温度を上げたり圧縮したりすれば体積が変わります。「気体1molは22.4L」と使う前に、問題が指定している温度と圧力を確かめましょう。
✎pV=nRTに何を代入するか
理想気体の状態方程式はpV=nRTです。pは圧力、Vは体積、nは物質量、Tは絶対温度、Rは気体定数です。温度は℃でなくKを使い、T/K=t/℃+273.15で換算します。Rを8.314Pa m³ mol⁻¹ K⁻¹とすれば、圧力はPa、体積はm³でそろえます。
1L=10⁻³m³なので、Lで求めたい場合には8.314×10³Pa L mol⁻¹ K⁻¹を使えます。気体定数の数値だけを覚え、単位を落とすと1000倍の誤りが生じます。0℃・1atmで理想気体1molの体積は約22.4Lですが、温度や標準圧力の取り方が違えば、この値も変わります。理想気体の状態方程式は、何を一定に保つかによってボイル・シャルルの法則なども表します。
✎例題:指定された温度と圧力で体積を求める
理想気体0.200molが300K、1.00×10⁵Paにあるとします。V=nRT/pに代入すると、0.200×8.314×300/(1.00×10⁵)=0.0049884m³です。Lに直して、有効数字をそろえると4.99Lです。
同じ物質量を、同じ温度で圧力だけ2倍にすると体積は半分です。一方、密閉した剛体容器では体積を変えられないため、温度を2倍にすると圧力が2倍になります。状態方程式は変数同士の関係であって、加熱すれば必ず体積が増すという指示ではありません。
✎混合気体は成分ごとの分圧で考える
理想気体の混合物では、成分iの分圧はpᵢ=nᵢRT/V、全圧は各分圧の和です。モル分率xᵢ=nᵢ/n全体を使うとpᵢ=xᵢp全体となります。窒素0.100molと酸素0.300molを混ぜ、全圧が100kPaなら、窒素の分圧は25.0kPa、酸素は75.0kPaです。
水上で集めた気体には水蒸気も含まれます。水蒸気で飽和し、全圧101.3kPa、水の蒸気圧3.17kPaという条件が与えられたなら、乾いた気体の分圧は98.1kPaです。目的の気体の物質量を求める式には、この分圧を入れます。水に溶ける気体では、溶解した分も別に考える必要があります。
✎確認問題
同じ量の理想気体で、圧力を一定にして27℃から127℃へ加熱した。体積は何倍?
絶対温度は約300Kから400Kとなるので、体積は約4/3倍です。127/27を計算するのではありません。
同じ温度・同じ圧力で、水素と酸素がそれぞれ2.0Lある。分子数と質量は同じ?
理想気体として扱えば、pV/(RT)が等しいため物質量と分子数は同じです。モル質量が違うので質量は異なり、H₂を2、O₂を32g/molとすれば酸素の質量は16倍です。
✎発展:理想気体からのずれを測る
圧縮因子Z=pV/(nRT)は理想気体で1です。実在気体では分子間の引力や分子の大きさの影響を受け、条件によって1より小さくも大きくもなります。特に高密度や凝縮に近い条件では、理想気体の式だけでは十分でない場合があります。高校で学ぶ分子間力が、気体の状態方程式にも関わっているわけです。
