【化学基礎】中和滴定:当量点・終点と濃度計算を理解する

対象:化学基礎から大学初年級/前提:物質量、モル濃度、酸・塩基、pH

滴定では、濃度が分かっている溶液と反応させ、必要だった体積から未知試料の物質量を求めます。計算の中心は反応式の量的関係です。一方、指示薬の色が変わる位置を判断するには、pHの変化も考える必要があります。

✎中和の量は反応式から求める

一価の酸HAとOH⁻がHA+OH⁻→A⁻+H₂Oの比で反応する場合、当量点ではn(HA)=n(OH⁻)です。したがって酸と塩基の濃度をcₐ、cᵦ、体積をVₐ、VᵦとすればcₐVₐ=cᵦVᵦとなります。体積は両側で同じ単位を使い、物質量そのものを求めるときはLに直します。

酸が渡せるプロトンの数が違えば係数比も変わります。硫酸を二段階とも中和する場合はH₂SO₄+2OH⁻→SO₄²⁻+2H₂Oなので、酸1molにOH⁻が2mol必要です。「酸の価数を掛ける」計算は、どの段階まで反応させるかを指定した反応式に対応しています。

✎例題:一価の酸の濃度

未知濃度の一価の酸20.00mLを、0.1000mol/Lの塩基で滴定し、当量点まで24.60mLを要したとします。ほかの成分は塩基を消費しない条件です。塩基の物質量は0.1000×0.02460=0.002460molなので、酸の濃度は0.002460/0.02000=0.1230mol/Lです。

酸をあらかじめ水で薄めても、採取した酸をすべて同じ容器に残して滴定するなら、酸の物質量は変わりません。当量点までに必要な塩基の量も同じです。ただし試料を希釈した後、その一部だけを取り分けて滴定した場合には、採取割合を計算に入れます。

✎当量点と終点は同じ定義ではない

当量点は反応式に必要な量がちょうど加わった点です。終点は指示薬の色などを手掛かりに滴定を止める点です。当量点に近い範囲で明瞭な変化を示す検出法を選び、終点のずれが計算結果へ与える影響を小さくします。両者の区別は滴定曲線と指示薬の解説も参照してください。

強酸と強塩基の中和では、25℃で近似的に当量点のpHは7です。弱酸を強塩基で滴定すると、当量点には弱酸の共役塩基A⁻が多く存在し、A⁻+H₂O⇌HA+OH⁻によって塩基性になります。中和が量的に完了したことと、溶液が中性になることを混同しないようにします。

✎確認問題

0.0500mol/LのH₂SO₄を20.0mL採取した。二段階とも中和する0.100mol/LのNaOHは何mL必要?

硫酸は0.00100mol、必要なOH⁻は0.00200molです。体積は0.00200/0.100=0.0200L=20.0mLです。

当量点を越えて塩基を加え、その体積を計算に使うと、求める酸の濃度はどうずれる?

実際に酸との反応に必要だった量より多い塩基を、すべて酸が消費したとみなすため、酸の濃度を高く見積もります。

✎発展:半中和点からpKaを読む

単純な一価弱酸の滴定で、当量点に必要な塩基の半分を加えた付近では、HAとA⁻の量がほぼ等しくなります。希薄溶液で活量係数などを近似できれば、pH=pKa+log([A⁻]/[HA])からpH≈pKaです。極端に薄い溶液や複数の酸がある場合には、この読み方がそのまま成り立つとは限りません。pKaと共役塩基へ進むと、量的関係と平衡の関係を整理できます。