今回は整式同士で割り算を効率的に計算する方法である「組立除法」(くみたてじょほう) について動画付きで解説します。整式の除算が苦手な人は必見です!
普通の割り算の場合
組立除法について説明する前に、まずは筆算形式の普通の割り算をおさらいしておきましょう(時間が無い人は読み飛ばして結構です)。
次の問題を考えてみます。
例題
次のように解くのが普通でしょうか。
(特に工夫しない解法)
これは次のような手順で計算しています。ごく普通の筆算です。
これでも割り算は実行できますが、
そこで、次のように
組立除法の場合
それではお待ちかねの組立除法の解説をしていきます。
組立除法では、割る方の整式は1次式でなければなりませんが、割られる方の数式は何次の多項式であってもOKです。具体的なやり方は以下の通りです。
例題(再掲)
(組立除法による解法)
これは次のような手順で計算しています。
最高位の数字はそのまま下ろしてきます。次々と乗じている
例えば
要するに
組立除法の仕組み
組立除法で割り算ができる仕組みについて少し説明します。
2次式の割り算で理解するのが分かりやすいと思いますので、整式
普通の筆算なら次のようになります。
これを組立除法の書き方に直すと次のようになります。
青字部分と赤字部分はそれぞれ対応しています。
今は2次式の割り算を考えましたが、何次式の割り算であっても同じ方法で計算できます。
この様子から、組立除法でも普通の筆算と全く同じ計算を行っていることが見て取れるでしょう。筆算の余分な部分を省略した書き方で割り算を行っている、というのが組立除法の本質です。
例題
組立除法の使って幾つか計算練習をしてみましょう。
練習問題①
練習問題②
練習問題③
この問題は組立除法を使うメリットがありませんが、虚数解
これより
(コメント)
組立除法は、
・剰余の定理を使った時の計算
・記数法の計算(
・平均変化率を求める計算
・グラフの平行移動後の式を求める計算
・・・etc.
に利用することができます。割る式が整数を因数に持つときの割り算全般に使えるため、応用範囲は広めです。組立除法を知らなくても受験に困ることはありませんが、是非マスターして整式の計算を高速化しましょう!
“【整式の割り算】組立除法の極意” への1件の返信