べき乗が階乗で割られた形の無限級数をまとめます。これまでに扱ってきた数列群を、母関数を用いて高い視点から眺めてみます。
前回までのおさらい
前回までは、ベル数を用いて任意の非負整数に対してという公式が成り立つことを確認しました。また、 がどんな値になるのかについて調べました。今回はこれをさらに一般化し、 を整数として の値について調べてみます。
さらなる一般化
のときは は常に となるので以下では省略します。
まず、
となっており、 が成り立っていることが観察できますが、このことはという式変形によって納得できます。
を大きくしてみます。
ここから面白いことが分かります。と表せたり、であったり、となることなどが推測できます。
今度は逆に を小さくしてみます。
以上の表を眺めると が負のときでも などが成立しています。これらの予想は母関数を考えれば上手く説明できそうです。
母関数によるアプローチ
全部のパターンについてやっているとキリが無いので、ここでは例として任意の整数 についてと表せることを母関数を用いて確認してみます。 というのは要するに のことでした。毎度お馴染みの のマクローリン展開から出発します。
まずに対して を掛けます。この両辺を で微分すると、を得ます。これにさらに を掛けるととなるので、再び微分すると、という式が得られます。右辺の累乗の次数を合わせるために両辺に を掛けてという式を得ます。
最後の式に対して とするとという値が得られ、が分かります。因みに、これは「べき乗/階乗の無限級数の性質①」の導入で登場した数列( のときに相当)の一般化バージョンになっています。
この手順を繰り返せば原理的には無限のについて が求められます。また、微分とを掛ける操作を繰り返しているだけなので が の 次式として表せることが理解できます。
積分漸化式で一般項を導く
それにしても、 を一発で求められればとても楽チンなのですが、そのような便利な公式が存在するのかについては管理人は寡聞にして知りません。ですが、次の漸化式が成り立ちそうだということは何とか自力で見出しました。ここで は 番目のベル数で、以下の表に示すような値をとります。
これまで は力づくで求めてきましたが、この積分漸化式を用いれば機械的な計算処理で次々と を求めることができそうです。
厳密には証明していませんが、一応となることを確認しているので、恐らくすべてのについて上記の積分漸化式は正しい和を与えると予想されます。
微分型の漸化式に翻訳するととなります。こちらの方が検算しやすいでしょうか。
いずれにしても証明は面倒そうなのでサボります。時間のある方は取り組んでみて下さい・・・。
(コメント)
ここまで3日連続での無限級数の極限値について色々と考察してきましたが、いかがでしたでしょうか? 母関数については別に解説のページを用意していますので、そちらも是非参考にしてみて下さい!
ところで、となることからも何か言えそうです。末尾の定数項は前回の記事で紹介した数列になっています。
は想像以上に興味深い数列ですね・・・!