創作整数問題#28解法&創作整数問題#29


センター試験まで1ヶ月を切りました。受験生にとってはラストスパートの時期ですね。高校の先生方は今頃、願書を書くのに大忙しといったところでしょうか。まさに師走です。


《問題#29》

ある自然数は、2乗した値を29で割った余りと、4倍して1を加えた値を29で割った余りが等しいという。このような自然数をすべて求めよ。

(創作問題)


方程式に2次の項が入ってきますが、余りを考えれば候補が絞られます。

 

 

 

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答えは 29n+1329n+20 (nZ0) です。

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創作整数問題#28(解き方)



与式を次のように変形します。m2=n!4n mod3によると n3 のときm201n2 (mod3)となります。3で割ったときの余りが2となる平方数は存在しない(*)ので、n3 のとき解は存在しません。0n2 のときを調べると、n=0 のとき m=0 が解となることが分かります(40=10!=1 です)。よって求める非負整数解は(m,n)=(0,0)となります。

※注:(*)について

度々登場する平方剰余のお話ですが、一応解説しておきましょう。m3で割ったときの余りで場合分けします。

m=3k+rr=0,1,2)と置きますと、m2=(3k+r)2=9k2+6kr+r2=3(3k2+2kr)+r2となるので、m3で割ったときの余りは、余りr3で割ったときの余りに一致します。ここでr20,1,43通りが存在しますが、いずれも3で割った余りが2になることはありません。したがって3で割ったときの余りが2となる平方数は存在しないのです。


(コメント)

本格的なディオファントス方程式と言っておきながら、平方剰余であっさり解決できてしまいます。次のような問題も同じようにあっさり解決できるでしょう。


《おまけ問題①》

等式m2+5n=n!を満たすような非負整数mnの組をすべて求めよ。


余談ですが、創作整数問題#3も同様のトリックで作問されています。その他の平方剰余に関する証明は整数第3章第1節問題#B005を参照してみて下さい。

個人的な意見ですが、階乗の出てくる問題はどうもアドホックな解答を迫られるものが多いような気がします。例えば次のような問題(これはそれほどアドホックではないかもしれませんが)。気付かなかったら終了、という整数問題の怖さが体感できるのでは(笑)。


《おまけ問題②》

712!+1 は素数か。


なかなか威圧感がありますね。いつぞやの京大後期のような雰囲気ですが・・・。

 

 

 

» おまけ問題②の答えはこちら

素数ではありません!

さて、何で割り切れるでしょうか・・・?

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