こんにちは。管理人の pencil です。
GoToナントカキャンペーンも始まり自粛解除ムードが浸透してきましたが、片や新型コロナウイルス感染者が急増しつつあり、事態収束の先行きが思いやられます…。梅雨も明けてきましたので、StayHomeの際は熱中症に十分注意してお過ごし下さい。
ここ2ヶ月間は運よく(?)連日記事を更新できています。もしかしたら毎日チェックして下さっている方もいるでしょうか・・・?
創作整数問題#65
《問題#65》
$n^n+n!$ が $n+1$ で割り切れるような正の整数$n$は無数に存在することを示せ。
(創作問題)
前問に引き続き一行問題の難問です。The 数論!という感じの問題ですね。
証明問題につき、解答は次回掲載します!
創作整数問題#64(解き方)
$3^{4^5}+4^{5^6}$は$4000$桁以上の異なる2つの整数の積で表せることを示せ。 |
これは式変形を閃かなければ多分解けないので、ある種の知識問題と言えるかもしれません。「異なる2つの整数の積」という部分に着目し、与式が因数分解できないか調べてみると…?
解答例
恒等式$$\small x^4+4y^4=(x^2+xy+2y^2)(x^2-xy+2y^2)$$において $x=3^{4^4}$、$y=4^{\frac{5^6-1}4}$ を代入すると、$$\small \begin{align} (左辺) &= \left(3^{4^4}\right)^4+4\left(4^{\frac{5^6-1}4}\right)^4 \\ &=3^{4^5}+4^{5^6} \end{align}$$であり、$$\small \begin{align} & \quad \ (右辺) \\ &= \left(3^{2\cdot4^4}+3^{4^4}\cdot4^{\frac{5^6-1}4}+2\cdot4^{\frac{5^6-1}2}\right)\underline{\left(3^{2\cdot4^4}-3^{4^4}\cdot4^{\frac{5^6-1}4}+2\cdot4^{\frac{5^6-1}2}\right)} \end{align}$$となる。したがって、$3^{4^5}+4^{5^6}$ は異なる2つの整数の積で表すことができる。また、それらの桁数が$4000$以上であることを示すためには、下線部の桁数が$4000$以上であることを示せば十分である。
下線部について、$$\small \begin{align} & \quad \ 3^{2\cdot4^4}-3^{4^4}\cdot4^{\frac{5^6-1}4}+2\cdot4^{\frac{5^6-1}2} \\ &= \left(3^{4^4}-4^{\frac{5^6-1}4}\right)^2+3^{4^4}\cdot4^{\frac{5^6-1}4}+4^{\frac{5^6-1}2} \\ &>3^{4^4}\cdot4^{\frac{5^6-1}4}+4^{\frac{5^6-1}2} \\ &>4^{\frac{5^6-1}2} =2^{5^6-1}\,(=2^{15624})\end{align}$$となるから、$2^{15624}$の桁数が$4000$以上であることを示せばよい。
ここで、$2^{10}=1024>10^{3}$ が成り立つから、$$\small 2^{15624}>2^{1500 \cdot 10}=(2^{10})^{1500}>(10^{3})^{1500}>10^{4000}$$を得る。
よって、$3^{4^5}+4^{5^6}$ は$4000$桁以上の異なる2つの整数の積で表せることが示された。
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(コメント)
解答中で用いられた恒等式は「ソフィー・ジェルマンの恒等式」と呼ばれるものです。大学入試問題の題材となることは極めて稀ですが、数学オリンピックなどではこの恒等式を使わないと解けない問題が時々出題されます。いざという時にパッと使えるようにしておきたいですね!
本問の与式が因数分解できるというのは少々意外な事実ですが、そうでもなければ題意を証明するのはかなり難しそうです。もし別解を思い付かれた方はコメント欄でお知らせ下さい!