a^2+b^2+c^2=d^2を満たす整数組(横浜国立大学2000年前期(経済)第1問)

今回は表題の通り、a2 + b2 + c2 = d2 という方程式を満たす整数組の剰余に関する問題を取り上げます。


《問題》

自然数 $a$、$b$、$c$、$d$ が $a^2+b^2+c^2=d^2$ を満たしている。次の問いに答えよ。

(1)$d$ が $3$ で割りきれるならば、$a$、$b$、$c$ はすべて $3$ で割りきれるか、$a$、$b$、$c$ のどれも$3$で割りきれないかのどちらかであることを示せ。

(2)$a$、$b$、$c$ のうち偶数が少なくとも2つあることを示せ。

(横浜国立大学2000年 前期(経済)第1問)


《考え方》

皆さんも良く知っている「ピタゴラス数」$a^2+b^2=c^2$ ほどの頻度ではありませんが、$a^2+b^2+c^2=d^2$ という方程式も整数分野で時々出題されることがあります。

(1)では$3$で割りきれるかどうかを議論するので $\text{mod}$ $3$ を考えます。(2)では $\text{mod}$ $2$ を考えればよさそうですが、実はそれだけでは証明できません・・・。


解答例

 

(1)

$d$ が $3$ で割り切れるとき、$$(*) \quad a^2+b^2+c^2 \equiv 0 \pmod{3}$$が成り立つ。ここで一般に、

 

$n \equiv 0 \pmod{3}$ のとき $n^2 \equiv 0 \pmod{3}$

$n \equiv 1 \pmod{3}$ のとき $n^2 \equiv 1 \pmod{3}$

$n \equiv 2 \pmod{3}$ のとき $n^2 \equiv 1 \pmod{3}$

 

となるので、平方数を$3$で割った余りは$0$または$1$に限る。このことから、$(*)$を満たすような $a^2,b^2,c^2$ の剰余の組は ①$(0,0,0)$、②$(1,1,1)$ の場合に限られる。①のとき $a$、$b$、$c$ はすべて $3$ で割り切れ、②のとき $a$、$b$、$c$ のどれも$3$で割り切れない。よって題意は示された。

 

 

(2)

$$(**) \quad a^2+b^2+c^2 \equiv d^2 \pmod{4}$$とする。ここで一般に、

 

$n \equiv 0 \pmod{4}$ のとき $n^2 \equiv 0 \pmod{4}$

$n \equiv 1 \pmod{4}$ のとき $n^2 \equiv 1 \pmod{4}$

$n \equiv 2 \pmod{4}$ のとき $n^2 \equiv 0 \pmod{4}$

$n \equiv 3 \pmod{4}$ のとき $n^2 \equiv 1 \pmod{4}$

 

となるので、平方数を$4$で割った余りは$0$または$1$に限る。よって$d^2$を$4$で割った余りは$0$または$1$に限るから、$(**)$を満たすような $a^2,b^2,c^2$ の剰余の組は $(0,0,0)$、②$(1,0,0)$ の場合に限られる。①のとき $a$、$b$、$c$ はすべて偶数であり、②のとき $a$、$b$、$c$ ののうち2つは偶数である。よって題意は示された。


(コメント)

平方数に関する剰余は整数問題の定番中の定番テーマです。パターン問題なので慣れてしまえば確実に得点源にできます。

 

因みに、$$\begin{cases}
a=m^2+n^2-p^2-q^2 \\
b=2(mq+np) \\
c=2(nq-mp) \\
d=m^2+n^2+p^2+q^2 \end{cases}$$とすれば、方程式 $a^2+b^2+c^2=d^2$ の解が無数に得られます。

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