「デデッポッポー」と繰り返す声の主は、多くの場合キジバトです。駅前や公園の広場で群れていることが多いドバトとは別の種類です。ただし、どちらも公園や住宅地に来るので、場所だけでは区別できません。成鳥では、キジバトの首の横の縞と、翼のうろこ状の模様がよい目印になります。
まず首の横と、たたんだ翼を見る
キジバトは全体に灰褐色から赤褐色系の印象で、首の横に青灰色と黒の細かな縞模様があります。背中から翼には、羽の縁が重なって見えるうろこ状の模様があります。よく見える角度なら、この二つの組合せでドバトとの違いをつかみやすくなります。
ドバトには灰色の体に翼の黒い帯が目立つ個体もいますが、白、黒、褐色、まだら模様など、羽色の変化が大きいのが特徴です。くちばしの付け根の白い部分も手がかりになります。灰色だけがドバトの色ではなく、白いハトを見てすぐ別種だと考えることはできません。
| 観察点 | キジバト | ドバト |
|---|---|---|
| 首 | 横に細かな縞模様 | 緑や紫の光沢が目立つ個体がいる |
| 背・翼 | 褐色系のうろこ状の模様 | 黒い翼帯、白、褐色、まだらなど変化が大きい |
| くちばしの付け根 | ドバトほど白いふくらみが目立たない | 白い鼻瘤が目立つことが多い |
| 声の代表的な印象 | デデッポポーなど、区切りのある繰り返し | クルックーなど |
| よく見る姿 | 1羽やつがいでも見かける | 広場などで群れることが多い |
ドバトは、家畜化されたハトに由来する
ドバトは、カワラバトを人が家禽化し、そのハトが野外で暮らすようになったものです。もともと別に「ドバト」という野生種がいたという説明より、カワラバトに由来する家禽と野生化した集団の関係を考えると正確です。伝書鳩などの飼育の歴史が、身近な群れにもつながっています。
キジバトはそれとは異なる種です。「山鳩」と呼ばれることもありますが、現在は林だけでなく、住宅地の庭木や街路樹、公園でも見られます。「町にいるのがドバト、山にいるのがキジバト」という場所だけの二分法は、実際の観察には合いません。
鳴き声の文字には、人による違いがある
キジバトの声は、「デデッポポー」「デーデーポッポー」など、いろいろな文字で表されます。人が聞いた音を文字に置き換えたものなので、表記が一字違うだけで別の鳥とは限りません。実際の録音を聞いて、音の高さ、区切り、繰り返しのリズムを比べる方が分かりやすいでしょう。
また、一種類の鳥が出す声も一種類とは限りません。鳴かずに採食していることもあります。声だけで確信が持てないときは、見える範囲で姿を確認し、録音した時刻や環境も残します。鳴き声を大きな音で野外再生して鳥を呼び寄せると、行動を乱すおそれがあるので、資料の音声は屋内やイヤホンで聞くのがよい方法です。
幼鳥や光の当たり方で、目印が見えないことも
幼いキジバトでは、成鳥の首の縞がまだ目立たない場合があります。ドバトのくちばしの付け根の白さにも成長に伴う違いがあります。羽が膨らんだ姿勢や逆光、写真の色補正も印象を変えるため、首の一部分だけで全てを判断しないようにします。
群れか一羽かという行動も補助的な情報です。キジバトが複数集まることも、ドバトが一羽で歩くこともあります。大きさは両者とも同程度なので、距離の違う二羽を見て「大きい方がドバト」と決めるのは難しいでしょう。首、翼、くちばしの特徴を組み合わせます。
同じ公園でも、別々に記録してみる
観察日、場所、羽数、地面にいたか木に止まっていたか、声の有無を記録すると、同じ公園での過ごし方の違いが見えてきます。餌を与えて集める必要はありません。少し離れた場所から双眼鏡や写真で観察し、巣を見つけても近づきすぎないようにします。
日本には、この二つ以外にもハトの仲間がいます。地域や環境によっては別種の可能性があり、飼育由来の鳥もいるため、どんなハトも二択になるわけではありません。見えた特徴と分からない部分を分けておけば、後で図鑑や地域の鳥類資料と照合するときにも役立ちます。
参考資料
資料確認日:2026年10月2日
