有機化学:アルドール反応とClaisen縮合でC–C結合を作る

高校化学から大学初年級/内容確認:2026年10月14日

カルボニル化合物は求電子剤になる一方、α位をエノレートにすれば求核剤にもなります。役割の違う二つの分子を組み合わせると、新しい炭素鎖を作れます。

アルドール反応ではβ-ヒドロキシカルボニルを作る

アセトアルデヒドの一部からエノレートを作ると、そのα炭素が別分子のカルボニル炭素へ結合できます。生成した酸素上の負電荷をプロトン化すると、3-ヒドロキシブタナールになります。二つのC₂分子からC₄分子ができ、元の一方のC=Oは残ります。(OpenStax:23.1 アルドール反応)

2 CH₃CHO → CH₃–CH(OH)–CH₂–CHO

さらに水が失われれば、α,β-不飽和アルデヒドになります。C–C結合形成までのアルドール付加と、脱水まで含むアルドール縮合を分けて呼ぶと、反応式を整理しやすくなります。

Claisen縮合では、エステルの脱離基が働く

エステルのエノレートが別のエステルへ付加すると、四面体中間体からアルコキシドが離れてC=Oが回復できます。そのため生成物はβ-ケトエステルになります。付加した後に脱離基を出せることが、アルドールとの違いです。(OpenStax:23.7 Claisen縮合)

2 CH₃COOEt → CH₃COCH₂COOEt + EtOH
EtはCH₂CH₃を表します。

式は酸処理後の総括的な物質収支です。典型的な塩基性Claisen縮合では、生成物の酸性なHが取られてエノレートとなる段階が反応を進め、最後に酸処理します。

比較 アルドール Claisen
主な求電子剤 アルデヒド・ケトン エステル
付加後 主にプロトン移動 脱離してC=Oを回復
代表的生成物 β-ヒドロキシカルボニル β-ケトエステル

混ぜれば、一種類だけできるとは限らない

異なる二つのカルボニル化合物がどちらもエノレートになれると、求核剤・求電子剤の組合せが増えます。片方にα水素がない組合せを選ぶ、あらかじめ一方のエノレートを作るなど、役割を分ける工夫が必要です。炭素の番号と、残るカルボニル基を最初に決めて描くと、生成物の取り違えを減らせます。

四面体付加体の次を選ぶプロトン化してアルドール付加体へ。条件によって続いて脱水します。

塩基の種類、α水素、エステル交換などの副反応を実際の条件では確認します。

発展:小さな有機分子で左右を作り分ける

プロリンなどの有機分子を触媒に使う不斉有機触媒は、エナミンなどの中間体を通じて炭素どうしの結合形成と立体選択性を制御します。この分野の発展に対し、Benjamin ListとDavid MacMillanに2021年のノーベル化学賞が授与されました。エノレートの考え方を学ぶと、別の方法でカルボニルのα炭素を求核的にする工夫にもつながります。(ノーベル財団:2021年ノーベル化学賞発表)

考えてみよう:アルドール生成物で、二つのC=Oは両方消える?

典型的な一回の付加では、一方がアルコール型となり、もう一方のカルボニルは残ります。炭素数と酸素の数を数えて確かめましょう。