無理数の無理数乗が有理数になる例(1986年大阪大学前期理系第1問)

かなり古いですが教育的な問題です。皆さんは無理数の無理数乗が有理数になる例をパッと挙げられますか?


 

(1)$\log_{3} 4$ は無理数であることを証明せよ。

(2)$a$、$b$ は無理数で、$a^{b}$ が有理数であるような数の組 $a$、$b$ を求めよ。

(1986年大阪大学 前期理系第1問)

まずは自力で解いてみましょう!

 

 考え方

第1問ということもあってか全体的に難しくはありません。(1)はよくある無理数の証明ですね。背理法で示すのが簡単でしょう。(2)は(1)のヒントを上手く使いましょう。


解答例

 

(1)

$\log_{3} 4$ が有理数であると仮定すると $\log_{3} 4>0$ より、正の整数$p$、$q$に対して $\log _{3} 4=\dfrac{q}{p}$ と置けて、$3^{\frac{q}{p}}=4$ から$$3^{q}=4^{p}$$となる。しかしこの左辺は奇数であり、一方で右辺は偶数であるから不合理である。よって、$\log_{3} 4$ は無理数である。

 

(2)

$\sqrt{3}$は無理数で、(1)より $\log_{3} 4$ も無理数である。そこで $a=\sqrt{3}$、$b=\log _{3} 4=2 \log_{3} 2$ とすると、$$a^{b}=(\sqrt{3})^{2\log_{3} 2}=3^{\log_{3} 2}=2$$となり、有理数となる。ゆえに、$$\color{red}{a=\sqrt{3},\quad b=\log _{3} 4}$$は求める1組である。

 


 

解答例では省いていますが、時間的に余裕があれば$\sqrt{3}$が無理数であることの証明も付け加えておくと良いでしょう。(1)と同様に背理法で証明できます。

無理数の無理数乗は無理数にも有理数にもなります。$(\sqrt{2})^{\log_{2}3}=\sqrt{3}$ とすれば無理数ですし、本問のように $(\sqrt{3})^{2\log_{3} 2}=2$ とすれば有理数になります。

他に無理数の無理数乗が有理数になる例については2020年横浜市立大学前期理系数学第2問に出題があります。この問題では$\left(\sqrt{2}^{\sqrt{2}}\right)^{\sqrt{2}}$が題材になっています。こちらも面白い問題なのでチャレンジしてみて下さい!

“無理数の無理数乗が有理数になる例(1986年大阪大学前期理系第1問)” への2件の返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です