無限交代級数の和(名古屋市立大学2015年)

無限交代級数の和を求める問題です。$\log 2$ に収束するメルカトル級数や $\dfrac{\pi}{2}$ に収束するライプニッツ級数を題材にした問題は頻出なので、しっかり対策しておきたいですね!


《問題》

自然数$n$に対して、$0$以上の実数を定義域とする$x$の関数$R(x)$を$$\small R_{n}(x)=\dfrac{1}{1+x^{p}}-\sum_{k=0}^{n-1}\left(-x^{p}\right)^{k}$$とする。ただし、$p$は正の定数である。以下の問いに答えよ。

(1)次の不等式を示せ。$$\small \left|\int_{0}^{1} R_{n}(x) d x\right|<\dfrac{1}{p n+1}$$
(2)次の等式を示せ。$$\small \int_{0}^{1} \dfrac{d x}{1+x^{p}}=\sum_{k=0}^{\infty} \dfrac{(-1)^{k}}{p k+1}$$
(3)以上の結果を利用して次の無限級数の和を求めよ。

 (a) $\small S_{1}=1-\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{5}-\cdots$

 (b) $\small S_{2}=1-\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{5}-\dfrac{1}{7}+\dfrac{1}{9}-\cdots$

(名古屋市立大学2015年 (薬) 第3問)


《考え方》

詰まる人は(1)で早々に詰まってしまう気もします。数学的帰納法を持ち出そうとすると大変です。不等関係だけでスマートに解決を図りましょう。

(2)は前問の結果を利用します。示すべき等式の右辺に$\infty$があることから、$n \to \infty$ の極限を取れば良いことが分かります。

(3)は(2)の等式を使うだけのオマケ問題です。メルカトル級数やライプニッツ級数は予備知識として知っている受験生も多いのではないでしょうか。(1)や(2)で撃沈していても(3)だけでも解答できれば、お情けで加点されるはずです。試験場では貪欲に・・・。

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解答例

 

(1)

$$\small \begin{aligned}
R_{n}(x) &=\frac{1}{1+x^{p}}-\sum_{k=0}^{n-1}\left(-x^{p}\right)^{k} \\
&=\frac{1}{1+x^{p}}-\frac{1-\left(-x^{p}\right)^{n}}{1-\left(-x^{p}\right)} \\
&=\frac{\left(-x^{p}\right)^{n}}{1+x^{p}} \\
&=\frac{(-1)^{n} x^{n p}}{1+x^{p}}
\end{aligned}$$と変形すると、$$\small \begin{aligned}
\left|\int_{0}^{1} R_{n}(x) d x\right| &=\left|\int_{0}^{1} \frac{(-1)^{n} x^{n p}}{1+x^{p}} d x\right| \\
&=\left|(-1)^{n}\right| \int_{0}^{1} \frac{x^{np}}{1+x^{p}} d x \\
&=\int_{0}^{1} \frac{x^{n p}}{1+x^{p}} d x
\end{aligned}$$と表せる。なお、途中で$\dfrac{x^{np}}{1+x^{p}}$が正であることを用いた。

 

いま、$x>0$ より、$0<\dfrac{1}{1+x^{p}}<1$、$x^{np}>0$ であるから$$\small 0<\dfrac{x^{np}}{1+x^{p}}<x^{np}$$が成り立つ。この右辺について、$$\small \begin{aligned}
\int_{0}^{1} \frac{x^{n p}}{1+x^{p}} d x &<\int_{0}^{1} x^{n p} d x \\
&=\left[\frac{x^{pn+1}}{p n+1}\right]_{0}^{1} \\
&=\frac{1}{p n+1}
\end{aligned}$$となるから、$$\small \left|\int_{0}^{1} R_{n}(x) d x\right|<\dfrac{1}{p n+1}$$が示された。

 

 

(2)

 

$$\small \begin{aligned}
& \quad \ \left|\int_{0}^{1} R_{n}(x) d x\right| \\ &=\left|\int_{0}^{1} \frac{1}{1+x^{p}} d x-\int_{0}^{1} \sum_{k=0}^{n-1}\left(-x^{p}\right)^{k} d x\right| \\
&=\left|\int_{0}^{1} \frac{1}{1+x^{p}} d x-\sum_{k=0}^{n-1} \int_{0}^{1}\left(-x^{p}\right)^{k} d x\right| \\
&=\left|\int_{0}^{1} \frac{1}{1+x^{p}} d x-\sum_{k=0}^{n-1}\left[\frac{(-1)^{k} x^{pk+1}}{p k+1}\right]_{0}^{1}\right| \\
&=\left|\int_{0}^{1} \frac{1}{1+x^{p}} d x-\sum_{k=0}^{n-1} \frac{(-1)^{k}}{p k+1}\right|
\end{aligned}$$と書き直すと、(1)の結果から$$\small 0<\left|\int_{0}^{1} \frac{1}{1+x^{p}} d x-\sum_{k=0}^{n-1} \frac{(-1)^{k}}{p k+1}\right|<\dfrac{1}{p n+1}$$となる。ここで $n \to \infty$ の極限をとると、この右辺は$0$に収束する。したがって、はさみうちの原理から$$\small \lim_{n \to \infty}\left|\int_{0}^{1} \frac{1}{1+x^{p}} d x-\sum_{k=0}^{n-1} \frac{(-1)^{k}}{p k+1}\right|=0$$ $$\small \therefore \int_{0}^{1} \frac{1}{1+x^{p}} d x=\sum_{k=0}^{\infty} \frac{(-1)^{k}}{p k+1}$$を得る。よって与式は示された。

 

 

(3)

 

(2)で得られた等式において $p=1$ とすると、$$\small \begin{aligned}
S_{1} &= 1-\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{5}-\cdots \\
&=\sum_{k=0}^{\infty} \frac{(-1)^{k}}{1 \cdot k+1} \\
&=\int_{0}^{1} \frac{1}{1+x} d x \\
&=\left[\log(1+x)\right]_{0}^{1} \\
&=\color{red}{\log 2}
\end{aligned}$$と求められる。

 

また、(2)で得られた等式において $p=2$ とすると、$$\small \begin{aligned}
S_{2} &= 1-\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{5}-\dfrac{1}{7}+\dfrac{1}{9}-\cdots \\
&=\sum_{k=0}^{\infty} \frac{(-1)^{k}}{2 \cdot k+1} \\
&=\int_{0}^{1} \frac{1}{1+x^2} d x \\
&=\int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \frac{1}{1+\tan^2 \theta} \cdot \dfrac{1}{\cos^2 \theta} \, d \theta \\
&=\int_{0}^{\frac{\pi}{4}} d \theta \\
&=\color{red}{\frac{\pi}{4}}
\end{aligned}$$と求められる。なお、積分の途中で $x=\tan \theta$ と置換した。


(コメント)

冒頭でも少し触れましたが、$S_{1}$にはメルカトル級数、$S_{2}$にはライプニッツ級数という名前が付いており、$$\small \log 2=1-\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{5}-\cdots$$および$$\small \dfrac{\pi}{4}=1-\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{5}-\dfrac{1}{7}+\dfrac{1}{9}-\cdots$$となることが知られています。本問はこのことが背景にあります。

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