創作整数問題#62解法&創作整数問題#63

こんにちは。管理人の pencil です。

皆さんの所には給付金は届いているでしょうか? 個人的には桁数がもう一つ繰り上がってくれても一向に構わないんですけどね・・・(笑)


創作整数問題#63


《問題#63》

$1$と$0$が交互に並んだ$63$桁の整数$$N=\underbrace{1010 \cdots 0101}_{63桁}$$が素数でないことを示せ。

(創作問題)


因みに、このような$1$と$0$が交互に並んだ整数で素数であるものは$101$だけです。

 

証明問題につき、解答は次回掲載します!


創作整数問題#62(解き方)


座標平面上で原点を中心として曲線$C_1$:$y=x^2$ を$45^{\circ}$だけ回転させて得られる曲線を$C_2$とするとき、曲線$C_2$上の格子点をすべて求めよ。ただし格子点とは、$x$座標と$y$座標の値がともに整数であるような点のことである。

座標平面上の点の回転は複素数か行列を使いましょう。ここでは複素数を使った解答例を示します。複素数による図形の回転は「図形の回転には複素数の積を使おう!」の記事を参照して下さい。

 

解答例

 

曲線$C_1$:$y=x^2$ を$45^{\circ}$だけ反時計回りに回転させて得られる曲線を$C_a$、反対に$45^{\circ}$だけ時計回りに回転させて得られる曲線を$C_b$とする。このとき曲線の位置関係は下図のようになり、$C_a$と$C_b$は$y$軸に関して対称であるから、$C_a$上の格子点の$x$座標の符号を反転した点は$C_b$上の格子点となる。よって$C_a$上の格子点を探せば十分である。

 

 

以下、曲線$C_a$の方程式を求める。$C_a$の方程式は、パラメータ表示された複素数 $t+t^2 i$ に対して $\cos 45^{\circ}+i \sin 45^{\circ}$ を乗じることで得られる。$$\begin{align}& (t+t^2 i)(\cos 45^{\circ}+i \sin 45^{\circ}) \\ =\,& (t+t^2 i)\left(\dfrac{1}{\sqrt{2}}+\dfrac{1}{\sqrt{2}}i\right) \\ =\,& \dfrac{\sqrt{2}}{2}(t+t^2 i)(1+i) \\ =\,& \dfrac{\sqrt{2}}{2}(t-t^2)+\dfrac{\sqrt{2}}{2}(t+t^2)i\end{align}$$となり、この回転操作によって曲線$C_1$上の点$(t,t^2)$が移される点を$(X,Y)$と置くと$$\begin{cases} X=\dfrac{\sqrt{2}}{2}(t-t^2) \\ Y=\dfrac{\sqrt{2}}{2}(t+t^2) \end{cases}$$と表せる。これより、$$X+Y=\sqrt{2}\,t$$ $$\therefore t=\dfrac{1}{\sqrt{2}}(X+Y)$$となるので$t$を消去して整理すると、$$X^2+2XY+Y^2+\sqrt{2}X-\sqrt{2}Y=0$$を得る。よって曲線$C_a$の方程式は$$x^2+2xy+y^2+\sqrt{2}x-\sqrt{2}y=0$$となる。これより点$(0,0)$は明らかに曲線$C_a$上の格子点である。

 

以下、$x \ne 0$ かつ $y \ne 0$ かつ $x \ne y$ とすると、$$(x+y)^2+\sqrt{2}(x-y)=0$$ $$\therefore \dfrac{(x+y)^2}{(y-x)}=\sqrt{2} \quad \cdots (*)$$と変形できる。ここで以下の補題を示す。

補題:$\sqrt{2}$は無理数である。

 

背理法で示す。$\sqrt{2}$が有理数であると仮定すると、互いに素な正の整数$p$、$q$を用いて$$\sqrt{2}=\dfrac{p}{q}$$と表せる。$$\sqrt{2}q=p$$ $$\therefore 2q^2=p^2$$より、$p$と$q$は互いに素だから$2$は$p$を割り切る。即ち$q$と互いに素な正の整数$r$を用いて $p=2r$ と表せるから、$$2q^2=(2r)^2$$ $$\therefore q^2=2r^2$$となる。$q$と$r$は互いに素だから$2$は$q$を割り切る。故に$q$は$2$を素因数にもつことになるが、これは$p$、$q$が互いに素であることに反する。したがって仮定は否定され、$\sqrt{2}$は無理数である。

(了)

よって補題より$(*)$の右辺は無理数であり、$x$、$y$が整数のとき$(*)$の左辺は有理数であるから、$(*)$を満たす整数の組$(x,y)$は存在しない。

 

以上より、求める$C_2$上の格子点は$$(x,y)=\color{red}{(0,0)}$$である。

 


(コメント)

図形の回転操作には複素数が非常に有効です。なお、曲線$C_b$の方程式は$x$の部分に$-x$を代入すれば良いだけなので$$x^2-2xy+y^2-\sqrt{2}x-\sqrt{2}y=0$$と求められます。


 

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