今回は、前回の問題に登場した定数$\dfrac12$を少し動かしてみます。数列に平方数が現れるかどうかは、この定数とどのように関係しているのでしょうか。
創作整数問題#95
《問題#95》
$0\le t\le1$を満たす実数$t$に対して、数列$\{b_n\}$を
$$b_n=n+\left\lfloor\sqrt n+t\right\rfloor\qquad(n=1,2,\ldots)$$
で定める。次の問いに答えよ。
(1)すべての正の整数$n$に対して$b_n$が平方数にならないような$t$の値をすべて求めよ。
(2)(1)で求めた値以外の$t$について、ある正の整数$M$が存在し、$m\ge M$を満たすすべての整数$m$に対して、$b_n=m^2$となる正の整数$n$が存在することを示せ。
(3)$t=\dfrac{49}{100}$、$t=\dfrac{51}{100}$のそれぞれについて、$b_n$が平方数となる最小の正の整数$n$を求めよ。
(創作問題)
$\lfloor x\rfloor$は床関数で、$x$を超えない最大の整数を表します。
前回の問題は、今回の数列で$t=\dfrac12$とした場合に当たります。いくつかの項を計算すると予想はできますが、「すべての$n$」について結論を出すには、もう一工夫が必要です。
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(1)$\color{red}{t=\dfrac12}$ のみです。
(3)$t=\dfrac{49}{100}$のとき $\color{red}{n=1407}$ で、$b_{1407}=1444=38^2$。
$t=\dfrac{51}{100}$のとき $\color{red}{n=182}$ で、$b_{182}=196=14^2$ です。
(2)の証明を含め、詳しい解き方は次回紹介します。
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創作整数問題#94(解き方)
正の整数$n$に対して、$$k=\left\lfloor\sqrt n+\dfrac12\right\rfloor$$とおく。$n\ge1$であるから、$k\ge1$である。
床関数の定義から、$$k\le\sqrt n+\dfrac12<k+1$$であり、これを整理すると$$k-\dfrac12\le\sqrt n<k+\dfrac12$$を得る。各辺は正であるから、平方して$$k^2-k+\dfrac14\le n<k^2+k+\dfrac14$$となる。
ここで$n$は整数であるから、$$k^2-k+1\le n\le k^2+k$$が成り立つ。各辺に$k$を加えると、$a_n=n+k$より、$$k^2+1\le a_n\le k^2+2k=(k+1)^2-1$$を得る。
したがって、$$k^2<a_n<(k+1)^2$$であり、$a_n$は隣り合う2つの平方数の間にある。よって、数列$\{a_n\}$には平方数が現れない。
□
床関数の部分を整数$k$とおき、$n$の取り得る範囲を調べるのがポイントです。特に、$n$が整数であることを使って、不等式の端にある$\dfrac14$を処理するところが効いています。
実はこの数列は、平方数が現れないだけではありません。上の計算を逆にたどると、各正の整数$k$について、$$k^2-k+1\le n\le k^2+k$$の範囲で床関数の値はちょうど$k$となり、$a_n$は$$k^2+1,\ k^2+2,\ \ldots,\ (k+1)^2-1$$を順番に取ります。
$k=1,2,3,\ldots$と動かしたとき、これらの$n$の範囲は隙間なくつながります。したがって、数列$\{a_n\}$は「平方数でない正の整数を、小さい順にすべて並べた数列」になっています。初めの数項は$$2,\ 3,\ 5,\ 6,\ 7,\ 8,\ 10,\ 11,\ 12,\ 13,\ 14,\ 15,\ldots$$です。
この数列と一般項は、整数列のデータベースOEISのA000037にも掲載されています。
今回の#95では、この性質を支えている$\dfrac12$という値に注目してみました。前回の証明をそのまま使える部分と、新しく考える必要がある部分を探してみてください。
